カルシウムを、どう埋めれば届くか
日本人のカルシウム摂取量は、20歳以上の平均で男性490mg、女性476mgです1。
推奨量は30〜49歳で男性750mg、女性650mg2。男性で約65%、女性で約73%にとどまっています。
そして血液検査では足りているか分かりません。骨から補われるので、血中の値は動かないためです。だから見るのは、食べた量のほうになります。
どれだけ足りていないか
令和5年の国民健康・栄養調査と、食事摂取基準(2025年版)を並べます。

| 男性 | 女性 | |
|---|---|---|
| 推奨量 18〜29歳 | 800 | 650 |
| 推奨量 30〜49歳 | 750 | 650 |
| 推奨量 50〜64歳 | 750 | 650 |
| 実際の摂取量(20歳以上の平均) | 490 | 476 |
| 耐容上限量(18歳以上) | 2,500 | |
20〜29歳ではさらに低く、男性454mg、女性386mgです1。
これは、この媒体で扱ってきた栄養素の中でも大きい差です。ビタミンEのように目安量を上回っているものもあれば、ここのように3分の1以上足りないものもあります。
血液で確かめられない理由
健康診断の血液検査にカルシウムの項目があることがあります。ただしその数値は、足りているかを表していません。
血中のカルシウム濃度は、狭い範囲に厳しく保たれています。食事から足りなければ、骨から出して血中の濃度を維持します。だから足りていない人でも、血液の値は正常範囲に入ります。
食事摂取基準も、カルシウムの必要量を血液検査からではなく、体内蓄積量・尿中排泄量・経皮的損失量を積み上げる方法(要因加算法)で算出しています2。
血液で線が引ける栄養素と、引けない栄養素があります。カルシウムは後者です。
骨の状態が気になるなら、見るのは骨密度のほうです。血中のカルシウム値ではなく、骨そのものを測る検査で数値が出ます。
どの食品に、どれだけ入っているか
日本食品標準成分表(八訂)増補版の値です。可食部100gあたり3。
| 食品 | 100gあたり | 1回分のめやす |
|---|---|---|
| ほしひじき(乾、ステンレス釜) | 1,000 | 乾10gで100mg |
| プロセスチーズ | 630 | 1切れ20gで126mg |
| しらす干し(微乾燥品) | 280 | 大さじ1(5g)で14mg |
| アーモンド(乾) | 250 | 10粒15gで38mg |
| こまつな(葉、生) | 170 | 1食70gで119mg |
| ヨーグルト(全脂無糖) | 120 | 100gで120mg |
| 普通牛乳 | 110 | コップ1杯200mlで約220mg |
| 木綿豆腐 | 93 | 1/2丁150gで140mg |
| 糸引き納豆 | 90 | 1パック45gで41mg |
100gあたりの数字と、実際に摂れる量は別です。ひじきは含有量が最も高いのに、乾10gでは100mgにしかなりません。牛乳は含有量では下のほうですが、200ml飲めば1回で220mg入ります。
1つ補足があります。木綿豆腐の値は、凝固剤によって変わります。硫酸カルシウムを使ったものは150mg、塩化マグネシウム(にがり)を使ったものは40mgです3。同じ「木綿豆腐」でも4倍近く違います。
差を埋めるとしたら
足りない分は、男性で約260mg、女性で約174mgでした。
| 足すもの | 入る量 |
|---|---|
| 牛乳 コップ1杯(200ml) | 約220mg |
| ヨーグルト 1カップ(100g) | 120mg |
| プロセスチーズ 1切れ(20g) | 126mg |
| 木綿豆腐 1/2丁(150g) | 140mg |
| こまつなのおひたし(70g) | 119mg |
1日1品で、ほぼ埋まる幅です。この栄養素については、差が大きいわりに、埋め方は単純です。
上限は、食事では届かない
耐容上限量は18歳以上で2,500mg/日です2。
実際の摂取量が490mgですから、食事から5倍にしないと届きません。現実的ではありません。
届く可能性があるのは、サプリメントを使ったときです。足すかどうかの前に、足りているかどうかという順番は、ここでも同じです。そしてこの栄養素については、足りていないことが調査ではっきりしています。
妊娠中・授乳中の付加量は、ゼロ
意外に知られていない点です。食事摂取基準は、妊婦・授乳婦のカルシウムの付加量を+0としています2。
妊娠中は腸からの吸収率が上がるため、付加量を設定しない、という考え方です。ただし、もともとの推奨量を満たしていることが前提です。実際の摂取量は推奨量を下回っています。
検査結果の「不足」欄にカルシウムが出たら
この記事の数字がそのまま答えになります。日本人の平均は推奨量の65〜73%です。個人の結果を待たなくても、集団として足りていません。
RESONA-LABの結果報告書は、カルシウムの「解毒への関与」として「重金属の吸収を抑制」と記しています4。
この記述の裏づけになる、人での試験は確認できませんでした。「カルシウムを増やせば重金属の吸収が減る」と言える手順は、いまのところ見当たりません。
足りていない分を埋める理由は、そちらではなく骨のほうにあります。調査で3割以上足りていないことが分かっている、というだけで十分な理由です。
今日できること
この1週間で、乳製品・小魚・大豆製品・青菜を何回食べたかを数える。
思い出すのではなく、数える作業です。0回に近いなら、差は200mg以上あります。1日1品で埋まります。
そしてビタミンDは、カルシウムの吸収を助ける栄養素で、こちらも日本人は目安量に届いていません。2つは別々の話ではありません。
参考文献・参考資料
- 厚生労働省「令和5年 国民健康・栄養調査結果の概要」表3・表4 栄養素等摂取量(1歳以上、男女・年齢階級別) https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001338334.pdf
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 ミネラル(多量ミネラル)カルシウムの食事摂取基準 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316468.pdf
- 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補版」本表 https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_00001.html 1回分のめやすは、成分表の値から計算したものです。
- RESONA-LAB 検査結果報告書(人用・試供品サンプル)の記載による。報告書の見本は公式サイトで公開されています https://resona-lab.com/humans
本記事は公的資料の整理であり、個別の診断・治療に代わるものではありません。特定の食品・製品・サプリメントの効果を示すものでも、摂取を勧めるものでもありません。腎臓の疾患で治療中の方、カルシウム代謝に関わる薬を服用中の方、食事制限を受けている方は、個別の指示が優先されます。
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