健康寿命を延ばすために、どこから手をつけるか
平均寿命と健康寿命の差は、男性8.49年、女性11.63年(令和4年)1。日常生活に制限がある期間です。
この期間を作っているものには、名前と数字がついています。介護が必要になった主な原因は、認知症16.6%、脳血管疾患16.1%、骨折・転倒13.9%(令和4年・総数)2。
そして軽い段階と重い段階で、原因の顔ぶれが入れ替わります。ここが、手の打ちどころを決める部分です。
8.49年と11.63年を、何が作っているか
健康寿命は「日常生活に制限がない期間の平均」です。令和4年の値は男性72.57年、女性75.45年。平均寿命は男性81.05年、女性87.09年でした1。
差だけを見ると、抽象的な数字に見えます。ただ、この期間に何が起きているかは、別の統計に出ています。
段階で、原因が入れ替わる
国民生活基礎調査は、介護が必要になった主な原因を要介護度別に集計しています。上位3位を並べると、こうなります2。
| 段階 | 1位 | 2位 | 3位 |
|---|---|---|---|
| 総数 | 認知症 16.6% | 脳血管疾患 16.1% | 骨折・転倒 13.9% |
| 要支援1 | 高齢による衰弱 19.5% | 関節疾患 18.7% | 骨折・転倒 12.2% |
| 要支援2 | 関節疾患 19.8% | 骨折・転倒 19.6% | 高齢による衰弱 15.5% |
| 要介護1 | 認知症 26.4% | 脳血管疾患 14.5% | 骨折・転倒 13.1% |
| 要介護3 | 認知症 25.3% | 脳血管疾患 19.6% | 骨折・転倒 12.8% |
| 要介護4 | 脳血管疾患 28.0% | 骨折・転倒 18.7% | 認知症 14.4% |
| 要介護5 | 脳血管疾患 26.3% | 認知症 23.1% | 骨折・転倒 11.3% |

読み取れることが3つあります。
1. 軽い側の入口は、病気ではない。要支援1・2の上位に並ぶのは、関節疾患・高齢による衰弱・骨折転倒です。認知症も脳卒中も、上位3位に入っていません。動ける範囲が狭くなるところから始まっています。
2. 重い側は、血管に寄る。要介護4で28.0%、要介護5で26.3%。脳血管疾患が最多になります。ここは「衰え」ではなく、急に起きる出来事です。
3. 骨折・転倒は、全段階にある。総数で13.9%。要支援2では19.6%まで上がります。軽い側にも重い側にも顔を出す、唯一の項目です。
3つに分けると、確かめられる数字がある
「健康寿命を延ばす」は大きすぎて手がつきません。ただ、上の表は3つに分けられます。運動器・血管・骨。どれも、いま数字で確かめられるものがあります。
| 関わる原因 | 確かめられるもの | |
|---|---|---|
| 血管 | 脳血管疾患(要介護4で28.0%) | 家庭血圧の基準は135/85。LDLの管理目標値は区分で変わる |
| 骨 | 骨折・転倒(全段階の上位3位) | 骨密度。カルシウムは推奨量の65%、ビタミンDは目安量の77% |
| 運動器・体力 | 関節疾患・高齢による衰弱(要支援の1・2位) | たんぱく質は推奨量の120%だが、1.6g/kgで頭打ち |
血管については、線がはっきりしています。家庭で測ったときの基準は135/85で、診察室の140/90より低く設定されています。診察室でしか測っていないと、家で高い人は見つかりません。
骨については、血液のカルシウム値では足りているか分かりません。下がりそうになると骨から補われて元に戻るためです。骨の状態が気になるなら、見るのは骨密度のほうです。
認知症について、いま書けること
総数で1位、要介護1で26.4%。いちばん多い原因です2。
ただし、ここで確実な予防法を書くことはできません。分かっていることと、分かっていないことを混ぜないためです。
この統計から言えるのは、脳血管疾患が要介護4・5の最多であり、認知症と並んで上位にいるということだけです。血管に効く数字は、上の表のとおり自分で確かめられます。それ以上のことは、この記事の範囲を超えます。
今日、位置を1つ確かめる
8.49年と11.63年は集団の平均です。自分の分は、まだ決まっていません。
決まっていないものについて、今日できるのは位置を1つ確かめることです。
- 血管。家庭血圧を朝晩1回ずつ、1週間。1回の値ではなく平均で見ます
- 骨。今日の食事に乳製品・小魚・大豆製品が入っていたか。推奨量750mgに対して、日本人の平均は490mgです
- 運動器。片脚で立てる秒数と、椅子から手を使わずに立てるか
3つとも、道具はほとんど要りません。要支援の入口が「病気」ではなく「動ける範囲が狭くなること」だったのは、逆に言えば、病名がつく前から数えられるということです。
健診が見ている範囲と、その外側についてはこちらに書いています。
参考文献・参考資料
- 厚生労働省健康・生活衛生局健康課「健康寿命の令和4年値について」第4回 健康日本21(第三次)推進専門委員会 資料1-1、令和6年12月24日 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001363069.pdf
- 厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」Ⅳ 介護の状況、表17「現在の要介護度別にみた介護が必要となった主な原因(上位3位)」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa22/dl/05.pdf
本記事は公的統計の整理であり、個別の診断・治療に代わるものではありません。記載の割合は在宅の要支援・要介護者を対象とした調査の結果で、個人の見通しを示すものではありません。特定の検査・製品の効果を示すものでも、使用を勧めるものでもありません。
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