甘味料を、どこまで気にすればいいか
2023年5月、WHOは「体重コントロールや非感染性疾患のリスク低減の手段として、非糖質甘味料を使用しないことを提案する」と出しました1。ただしこれは条件付き勧告で、根拠の確実性は「低い」と自ら評価しています1。
そしてもう一つ。このガイドラインは安全性の評価を変えるものではありません。消費者庁の資料に、そう明記されています1。
日本人が実際に摂っている量は、一日摂取許容量(ADI)の0.002〜0.25%でした1。
WHOが出したのは、栄養のガイドラインだった
2023年5月のガイドラインの目的は、資料にこう書かれています。遊離糖の摂取量を減らす手段としてNSS(非糖質甘味料)への関心が高まってきたことを受けた指針である、と1。
消費者庁の資料は、性格をひとことでまとめています。「つまり、栄養摂取に係るガイドラインであると言える」1。
対象範囲も限定されています。糖尿病の方は対象としない。そして「既に個別に設定されている安全量(ADI)の更新を意図するものではない」1。
つまり「甘味料が危ない」と言った文書ではありません。砂糖を減らす手段として甘味料に置き換えることを勧めない、という文書です。
勧告の強さと、根拠の確実性
WHOの勧告には強さの段階があり、今回は条件付き勧告です1。
根拠の確実性については、ガイドライン自身がこう書いています。
エビデンス全体の確実性について低いと評価され、前向きコホート研究で観察された優先的な健康アウトカムに関してNSS使用の望ましくない効果に基づいているが、これらはエビデンスの確実性がそれぞれ非常に低い又は低いと評価された1
もとになっているのは観察研究です。そして体重については、「短期的な摂取はグルコース代謝に影響を与えることが示唆されているが、体重減少や維持に長期的に有効かどうかは不明」とされています1。
「エビデンスがある」と書かれていたときに確かめる三つのうち、ここでは「どれくらいの差なのか」が未確定のまま残っています。
日本人が実際に摂っている量
厚生労働省は、市場で売られている加工食品を買って混ぜ、含有量を測る方式で摂取量を推定しています。マーケットバスケット方式です。令和元年度の成人(20歳以上)の結果です1。
| 甘味料 | 推定一日摂取量 | 1人あたりの許容量 | 対ADI比 |
|---|---|---|---|
| ステビア抽出物 | 0.579 mg | 235 mg | 0.25% |
| アセスルファムカリウム | 1.779 mg | 882 mg | 0.20% |
| スクラロース | 0.752 mg | 882 mg | 0.09% |
| サッカリン | 0.144 mg | 223 mg | 0.06% |
| アスパルテーム | 0.055 mg | 2,352 mg | 0.002% |
| ネオテーム | 0.0002 mg | 59 mg | 0.0003% |
| アドバンテーム | 0 mg | 294 mg | 0% |

生産量から推定する別の方法でも算出されています。こちらは対ADI比で最大1.1%(サッカリンナトリウム)でした1。資料の結論はこうです。「いずれの調査結果においても、推定一日摂取量はADIよりも大幅に低い値であった」1。
日本の制度は、どう動いたか
WHOのガイドラインを受けて、日本でも甘味料の規格基準を変える必要があるかが検討されました。2024年11月28日の添加物部会の資料に、結論が書かれています1。
WHOガイドラインは、NSSの食品添加物としてのリスク評価に変更を生じさせる内容ではなく、あくまでも公衆衛生上の見地から、その摂取方法や栄養学的な取扱いについて指針を示すものである。また、国内におけるNSSの摂取量推計によると、推定一日摂取量はADIよりも大幅に低い値であった。よって、NSSの各食品添加物の規格基準について見直す必要はないと考える1
基準は変わっていません。変わっていない理由も、2つとも書かれています。
読者の側に残る問い
WHOが提案しているのは、甘味料を避けることではなく、甘味料を「砂糖を減らす手段」として当てにしないことです。ガイドラインは、遊離糖を減らすことや、ナトリウム・脂肪に関する他の指針とあわせて検討すべきだとしています1。
そして原材料名の欄では、甘味料は「/」の右側に、用途名つきで書かれます。「甘味料(アセスルファムK、スクラロース)」のような形です。
確かめられることは1つです。ふだん飲んでいるものの原材料名を見て、甘味料が何個入っているかを数える。数が分かれば、上の表で自分がどのあたりにいるかの見当がつきます。
添加物の欄が該当したときの見方は、添加物はどう調べられているかに書いています。
参考文献・参考資料
- 消費者庁 食品衛生基準審議会 添加物部会(令和6年11月28日)資料4「WHOの非糖質甘味料の使用に関するガイドラインと国内における非糖質甘味料の摂取量推計について」 https://www.caa.go.jp/policies/council/fssc/meeting_materials/assets/fscc_cms101_241203_02.pdf(原典:WHO “Use of non-sugar sweeteners: WHO guideline” 2023年5月 https://www.who.int/publications/i/item/9789240073616)
本記事は公的資料の整理であり、個別の診断・治療に代わるものではありません。特定の食品・成分の摂取を勧めるものでも、避けるよう勧めるものでもありません。糖尿病などで食事の指示を受けている方は、個別の指示が優先されます。
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