「無添加」より確かな、表示の読み方
原材料名の欄に、「/」(スラッシュ)が入っていることがあります。
その右側が、食品添加物です。左側が原材料。「/」の代わりに改行で区切られていることも、別の欄になっていることもあります1。
そして並び順にも意味があります。どちらも、重量の多い順です。
「無添加」に、ルールができた
2022年3月30日、消費者庁が「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」を策定しました。2年の経過措置を経て、2024年4月から本格的に適用されています2。
ガイドラインは、注意が必要な不使用表示を10の類型に分けています2。
| 内容 | |
|---|---|
| 類型1 | 単なる「無添加」の表示 |
| 類型2 | 食品表示基準に規定されていない用語を使用した表示 |
| 類型3 | 食品添加物の使用が法令で認められていない食品への表示 |
| 類型4 | 同一機能・類似機能を持つ食品添加物を使用した食品への表示 |
| 類型5 | 同一機能・類似機能を持つ原材料を使用した食品への表示 |
| 類型6 | 健康、安全と関連付ける表示 |
| 類型7 | 健康、安全以外と関連付ける表示 |
| 類型8 | 食品添加物の使用が予期されていない食品への表示 |
| 類型9 | 加工助剤、キャリーオーバーとして使用されている(又は使用されていないことが確認できない)食品への表示 |
| 類型10 | 過度に強調された表示 |
「人工」も「化学」も、制度の用語ではなかった
類型2の説明が、この記事でいちばん驚く部分かもしれません。
ガイドラインは、こう書いています2。
| 用語 | 記述 |
|---|---|
| 人工・合成 | 食品表示基準における人工及び合成の用語は、令和2年7月に削除されている |
| 化学調味料 | かつてJAS規格において使用されていたが、平成元年には削除されており、食品表示基準において使用されたことはない |
| 天然 | 食品添加物の表示において「天然」又はこれに類する表現の使用を認めていない |
前提として、食品衛生法において、食品添加物には化学的合成品も天然物も含まれており、いずれも使用が認められています。食品表示基準は、化学的合成品と天然物に差を設けず、原則としてすべて表示することにしています2。
「人工」「合成」「化学」「天然」という区別は、日本の食品表示の制度には存在していません。それでも流通していたのが、この4語でした。
「無添加だから体にいい」は書けない
類型6は、はっきりしています。
食品添加物は、安全性について評価を受け、人の健康を損なうおそれのない場合に限って国において使用を認めていることから、事業者が独自に健康及び安全について科学的な検証を行い、それらの用語と関連付けることは困難であり、実際のものより優良又は有利であると誤認させるおそれがある2
例として挙げられているのは、「体に良いことの理由として無添加あるいは不使用を表示」「安全であることの理由として無添加あるいは不使用を表示」の2つです。
これは「体にいい」と書かれているとき、その根拠がどこまで確かめられているかという話と、同じ場所にあります。
言われてみれば、という類型
残りの類型にも、実例がついています。
| 類型 | 例 | なぜ問題か |
|---|---|---|
| 3 | 清涼飲料水に「ソルビン酸不使用」 | 清涼飲料水へのソルビン酸の使用は、そもそも使用基準違反 |
| 4 | 日持ち向上目的で保存料以外の添加物を使いながら「保存料不使用」 | 同じ機能の別の添加物を使っている |
| 5 | アミノ酸を含有する抽出物を使いながら、調味料を使っていない旨を表示 | 同じ機能の原材料で代替している |
| 8 | ミネラルウォーターに「保存料不使用」「着色料不使用」 | 同種の製品で一般に使われておらず、消費者が使用を予期していない |
| 9 | 原材料の一部に保存料を使いながら、最終製品に「保存料不使用」 | 原材料の製造・加工の過程まで確認する必要がある |
類型3と8は、そもそも入っていないものを「入っていない」と書く表示です。
では、何を見るか
「無添加」が手がかりにならないなら、代わりの手がかりが要ります。それが一括表示です。

消費者庁の資料に、表示例が載っています1。
砂糖(国内製造)、濃縮果汁(ももを含む)、植物油脂/ゲル化剤(ペクチン)、酸味料、香料、着色料(紅麹)
「/」の左が原材料、右が添加物。4つ入っていることが、数えれば分かります。
実際のパッケージでどう見分けるかは、農林水産省の解説が4分でたどっています。
用途名が併記されるもの
次の8つの用途については、用途名が物質名と一緒に表示されます1。
甘味料/着色料/保存料/増粘剤・安定剤・ゲル化剤・糊料/酸化防止剤/発色剤/漂白剤/防かび剤・防ばい剤
上の例の「ゲル化剤(ペクチン)」「着色料(紅麹)」がこの形です。用途と物質名の両方が分かります。
一括名で書かれるもの
一方、次の14の用途については、物質名の代わりに一括名で表示できます1。
イーストフード/ガムベース/かんすい/酵素/光沢剤/香料/酸味料/チューインガム軟化剤/調味料/豆腐用凝固剤/苦味料/乳化剤/水素イオン濃度調整剤/膨張剤
こちらは中身の物質名が分かりません。複数の添加物の組み合わせで効果を発揮することが多いもの、食品中にも通常存在する成分と同じものが、この扱いになります。
実例があります。アルミニウムの入口だったミョウバンは、「膨張剤」という一括名の中に入ります。表示から判別することはできません。だから制度の側で、2018年に使用基準が作られました。
表示されないもの
3つあります1。
| 理由 | |
|---|---|
| 加工助剤 | 最終的に食品に残っていない |
| キャリーオーバー | 残っていても量が少なく、効果が発揮されない |
| 栄養強化の目的で使用されるもの | (一部の食品は表示が必要) |
つまり、表示を全部読んでも「入っているものが全部分かる」わけではありません。ガイドラインの類型9が、ここに対応しています。加工助剤やキャリーオーバーがある食品に「不使用」と書けば、誤認させるおそれがある、と。
数える、という手がかり
ここまでを踏まえると、表示から確実に分かるのは次のことです。
| 分かる | 表示対象の添加物がいくつ入っているか/重量の多い順/用途名併記の8種は物質名まで |
| 分からない | 一括名14種の中身/加工助剤・キャリーオーバー/それぞれの量 |
量が分からないのは、実は大きい点です。日本では添加物ごとに一日摂取許容量が設定され、日本人の実際の摂取量も推定されています。許容量に対する割合が最も高かったもので17.2%でした。その数字は、個別の商品の表示からは出てきません。
だから、できることは「数を減らす」より「加工食品の頻度を記録する」ほうです。ただしそれを変えると、添加物以外(食塩・脂質・食物繊維)も同時に動きます。
制度が変わった、ということの意味
「無添加」という言葉は、長いあいだ買い物の手がかりでした。その言葉にルールができたことは、手がかりを1つ失ったようにも見えます。
ただ、置き換わったものがあります。「/」の右側は、以前からそこにありました。
そして、この件で起きたのは弁当のフタル酸やパン・菓子のアルミニウムと同じことです。問題が特定され、制度が動きました。
ガイドラインは、消費者庁が2022年に出したものです。そこに書かれている「人工・合成の用語は2020年7月に削除されている」「化学調味料は食品表示基準で使われたことはない」は、調べれば誰でも確かめられる事実でした。使われ続けていたのは、誰も確かめなかったからです。
参考文献・参考資料
- 消費者庁「食品表示の内容を正しく理解するための“食品添加物表示に関するマメ知識”」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/food_additive/assets/food_labeling_cms204_210408_01.pdf
- 消費者庁「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」令和4年3月30日 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_220330_25.pdf
本記事は公的資料の整理であり、個別の診断・治療に代わるものではありません。特定の食品・製品の安全性や危険性を示すものでも、購入を勧めるものでも、避けるよう勧めるものでもありません。表示の内容は製品ごとに異なります。
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