症状リストが当てはまったとき、どう受け取るか
過去7日間に症状がまったくなかった人は、10.6%でした。残りの9割は、何かしら症状を抱えています。経験した症状の数は、中央値で5個。
だから「慢性的な疲労感」「集中力の低下」「肌荒れ」「眠気」を並べたリストは、ほとんどの人に当てはまります。当てはまったことは、原因が特定できたことを意味しません。
その症状が、そもそもどれくらいありふれているか。それを知っておくと、リストの読み方が変わります。
1週間に、5個
ニュージーランドで行われた全国調査があります。無作為に選んだ一般の人1,000人に、過去7日間で46項目の症状のうちどれを経験したかを尋ねたものです1。

症状があること自体は、日常の状態です。健康な人にも症状はあります。
だから、よくある症状を並べたリストは当たる
実例で見ます。RESONA-LABの検査結果報告書には、欄ごとに症状の一覧が添えられています3。
| 欄 | 添えられている症状 |
|---|---|
| 食品不耐性 | 慢性的な疲労感、集中力の低下、眠気、肌荒れ、消化不良・腹部の違和感 |
| 体内蓄積 | 集中力の低下・思考力の鈍化、疲労感や倦怠感、ホルモンバランスの乱れ、炎症の悪化 |
| 解毒機能 | 思考がぼんやりする、すっきりしない朝が増える、代謝の低下による体重増加、免疫力の低下による体調不良 |
| ビタミン・ミネラル不足 | 免疫機能の低下、疲れやすさや倦怠感、肌トラブル、集中力低下、睡眠障害、立ちくらみ、筋肉機能の低下 |
並べて気づくのは、4つの欄が、ほとんど同じ症状を挙げていることです。疲労感、集中力の低下、肌。
どれか1つの欄に当てはまったのではなく、4つ全部に当てはまります。上の調査が示しているとおり、これらは9割の人が週に何個か経験しているものだからです。
だから、この一覧の使い道は「自分がどれに該当するか」を決めることではありません。該当の有無は、そこからは決まりません。この記事の後半で扱う記録のほうが、答えに近づきます。
疲労・頭痛・肌荒れ・眠気・お腹の不調といった、ありふれた症状を並べれば、たいていの人に当てはまります。
リストに書かれている症状が、その原因で起きることは実際にあります。ただ、当てはまったことは、原因がそれだと示していません。他の原因でも同じ症状は出るからです。

これは、健康情報を読むときにくり返し出てくる構造です。「50%減った」という数字を見たら元の頻度を探すのと同じで、症状のリストにも「元の頻度」があります。誰にでもある症状を並べているのか、それとも珍しい症状を挙げているのか。そこで意味がまったく変わります。
名前がつくと、症状の見え方が変わる
もう一つあります。原因を告げられること自体が、その後の体調の受け取り方を変えます。
古典的な観察があります。職域の検診で高血圧が見つかり、本人に告げられた人たちを追跡したところ、その後の欠勤日数が増えました2。血圧の値が変わったからではなく、「高血圧である」と知らされたことのあとに起きた変化です。
症状リストを読んだあとも、似たことが起こります。それまで気に留めていなかった感覚に注意が向き、記憶の中から該当する場面が拾い上げられます。期待や不安が症状の側に働く経路は、実際に測られています。
では、どう見分けるのか
リストに当てはまったとき、確かめられることが3つあります。
1. 誰にでもある症状か
疲労、頭痛、肌荒れ、眠気。これらは一般の人の3割前後が、この1週間に経験しています。当てはまったことに情報量は多くありません。
逆に、頻度の低い症状が並んでいるなら、当てはまったことの意味は大きくなります。
2. 順番が合っているか
その症状は、原因とされているものより後から始まったのか。前からあったのか。
前からあったなら、その原因では説明がつきません。ここは記憶があいまいになりやすいところなので、思い出せる範囲でかまいません。「去年の健診のころはどうだったか」といった目印を使うと考えやすくなります。
3. 変えたら、変わるか
いちばん確かなのがこれです。原因とされるものを一つだけ変えて、症状がどうなるかを見ます。
やめるだけでは足りません。戻したときに症状が返ってくるかまで見て、初めて対応関係が見えてきます。一度に一つだけ変える、やめて、戻して、比べる。手順は同じです。
記録が効くのは、ここ
この3つは、いずれも記録がないと確かめられません。
いつから、どんなときに、どれくらいの頻度で。日付と時刻が入っていれば、順番も変化も後から追えます。検査が答えていない部分は、この記録でしか埋まりません。
逆に、記録がないまま症状リストと照らし合わせると、当てはまったという印象だけが残ります。
リストで自己判断しないほうがいい場合
次のような症状は、原因を探す段階にありません。ありふれた症状のリストと同じ枠には入らないものです。
| 症状 |
|---|
| 体重が意図せず減っている |
| 発熱が続いている |
| 血便がある、便が黒い |
| 皮膚や白目が黄色い |
| 今まで経験したことがない突然の激しい頭痛 |
| 症状が日ごとに悪化している |
当てはまったところから、始まる
症状リストに当てはまることは、悪いことではありません。気づくきっかけになります。
ただ、そこは結論ではなく出発点です。当てはまった時点で分かっているのは「その症状が自分にもある」ことまでで、原因はまだ分かっていません。
元の頻度、順番、変えたときの変化。この3つを確かめると、リストの中から自分に関係のあるものだけが残ります。
参考文献・参考資料
- Petrie KJ, Faasse K, Crichton F, Grey A. How common are symptoms? Evidence from a New Zealand national telephone survey. BMJ Open. 2014;4(6):e005374. doi:10.1136/bmjopen-2014-005374 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24928596/
- Haynes RB, Sackett DL, Taylor DW, Gibson ES, Johnson AL. Increased absenteeism from work after detection and labeling of hypertensive patients. New England Journal of Medicine. 1978;299(14):741-744. doi:10.1056/NEJM197810052991403 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/692548/
- RESONA-LAB 検査結果報告書(人用・試供品サンプル)の記載による。報告書の見本は公式サイトで公開されています https://resona-lab.com/humans
本記事は症状の受け取り方を整理したものであり、個別の診断・治療に代わるものではありません。特定の検査・製品の効果を示すものでもありません。
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