「解毒にいい食べ物」に、どこまで根拠があるか
「解毒にいい食べ物」の大半は、人で確かめられていません。市販のデトックス食については、有効性を評価した無作為化比較試験が行われていないと2015年の総説が書いています。
ただし、例外はあります。大気汚染の大きい地域で291人を対象に行われた12週間の無作為化試験で、ブロッコリースプラウト飲料を飲んだ群は、ベンゼン由来の代謝物の尿中排泄が61%、アクロレイン由来が23%増えました(いずれもP≤0.01)1。
そして、ここを読み違えないことが大事です。増えたのは「尿に出た量」です。病気が減ったかどうかは、この試験では測っていません。
どこで、誰に、何をした試験か
ジョンズ・ホプキンス大学などのグループが、中国・江蘇省啓東市の農村部で行った試験です。大気汚染物質への曝露が大きいことで知られる地域で、291人が参加しました1。
| 内容 | |
|---|---|
| 参加者 | 291人(中国・啓東市 He-He鎮) |
| 期間 | 12週間 |
| 設計 | 無作為化、プラセボ対照 |
| 介入 | ブロッコリースプラウト由来の飲料。1日あたりグルコラファニン600µmol、スルフォラファン40µmol |
| 測ったもの | ベンゼン、アクロレイン、クロトンアルデヒドの尿中のメルカプツール酸(液体クロマトグラフィー・タンデム質量分析) |
メルカプツール酸というのは、第II相でくっつけて水に溶ける形にしたあと、尿から出ていく形の1つです。つまりこの試験は、処理して出す工程が実際に動いたかどうかを、出てきた物質の量で測っています。
結果

| 物質 | 結果 |
|---|---|
| ベンゼン | 61%増(P≤0.01) |
| アクロレイン | 23%増(P≤0.01) |
| クロトンアルデヒド | 有意な増加は見られなかった |
3つ測って、2つで動き、1つでは動きませんでした。物質によって結果が違う、というところまで出ています。
そして12週間の投与期間を通じて、スルフォラファン代謝物の生物学的利用能は低下しませんでした1。続けても効きが落ちなかった、という意味です。
遺伝子型で、差が出た
この試験には、もう1つ観察があります。
ベンゼン由来のメルカプツール酸の排泄は、GSTT1という遺伝子を持っている人のほうが、持っていない人より高くなりました。しかもこれは、試験群かプラセボ群かに関係なく見られました1。
GSTというのは、第II相でグルタチオンをくっつける反応を担う酵素群です。この酵素の遺伝子を持っているかどうかで、同じ曝露でも出ていく量が違ったということになります。
「同じものを食べても人によって違う」が、この試験の中でも観察されています。
読み違えやすいところ
この結果は、いくつかの点で慎重に扱う必要があります。
| 内容 | |
|---|---|
| 言っている | 特定の飲料を12週間飲むと、一部の物質の尿中排泄が増える |
| 言っていない | それによって病気が減るか、症状が良くなるか |
| 言っていない | 体内に残っている量が減ったか(測ったのは出てきた量) |
| 言っていない | 日常的に食べるブロッコリーで同じことが起きるか |
特に4つめです。試験で使われたのは1日グルコラファニン600µmolという定量された飲料でした。スーパーで買うブロッコリーを食べることと、同じ条件ではありません。
著者らの結論も、その範囲で書かれています。「ブロッコリースプラウトによる介入は、一部の大気汚染物質の解毒を高め、それに伴う長期的な健康リスクを軽減する質素な手段を提供しうる」1。「提供しうる(may provide)」です。
それでも、この試験には意味がある
ここまで限定をつけたうえで、この試験が示していることは重要です。
「処理して出す工程は、外から動かせることがある」——それが人で、無作為化試験で、確かめられました。
「デトックス」という言葉が使いにくいのは、物質名が書かれず、出たかどうかを誰も確かめられないからでした。この試験は逆です。物質名(ベンゼン、アクロレイン、クロトンアルデヒド)があり、測り方があり、比較対象があり、動かなかったものまで報告されています。
確かめられる形にすれば、ここまで確かめられます。弁当のフタル酸が、入口の特定から通知を経て22分の1になったのと、同じ種類の話です。
では、今日の食事をどうするか
この記事から出てくる行動は、控えめです。
アブラナ科の野菜を食べる理由が1つ増えた、というところまでです。ブロッコリー、キャベツ、大根、芽キャベツ。ビタミンCの供給源としても、これらは上位に来ます。
飲料と同じ量を食べようとする必要はありません。試験の用量は、日常の食事から狙って摂る水準ではありません。
そして、順番は変わりません。出口が動いているかを先に見る。食物繊維は目標量に10g近く足りていません。入口は9種それぞれ違い、閉じられるものがあります。
特定の食品を足すことは、この順番の中では最後のほうにあります。それでも、人で確かめられた試験があるものと、ないものは、区別しておく価値があります。
参考文献・参考資料
- Egner PA, Chen JG, Zarth AT, et al. Rapid and sustainable detoxication of airborne pollutants by broccoli sprout beverage: results of a randomized clinical trial in China. Cancer Prevention Research. 2014;7(8):813-823. doi:10.1158/1940-6207.CAPR-14-0103 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24913818/
- Klein AV, Kiat H. Detox diets for toxin elimination and weight management: a critical review of the evidence. Journal of Human Nutrition and Dietetics. 2015;28(6):675-686. doi:10.1111/jhn.12286 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25522674/
本記事は公開された研究の整理であり、個別の診断・治療に代わるものではありません。特定の食品・製品・サプリメントの効果を示すものでも、摂取を勧めるものでもありません。引用した試験が測定したのは尿中代謝物の排泄量であり、健康アウトカムの改善を示したものではありません。試験で用いられた用量は、通常の食事から摂取される量とは異なります。
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