マグネシウムを、食品とサプリのどちらから足すか
マグネシウムの推奨量は30〜49歳で男性380mg、女性290mg。日本人の摂取量は20歳以上の平均で男性261mg、女性234mgです12。
男性で約69%、女性で約81%。足りていません。
そして、この栄養素の耐容上限量には変わった書き方がされています。「通常の食品以外からの摂取量の耐容上限量は、成人の場合350mg/日」。食品からの摂取については、上限を設定していません2。
どれだけ足りていないか

| 男性 | 女性 | |
|---|---|---|
| 推奨量 18〜29歳 | 340 | 280 |
| 推奨量 30〜49歳 | 380 | 290 |
| 推奨量 50〜64歳 | 370 | 290 |
| 実際(20歳以上の平均) | 261 | 234 |
| 実際(20〜29歳) | 229 | 193 |
| 耐容上限量 | 通常の食品以外から350mg/日(食品からは設定なし) | |
「食品からは上限なし」という書き方
ここが、この栄養素の特徴です。食事摂取基準の表の脚注に、こう書かれています。
通常の食品以外からの摂取量の耐容上限量は、成人の場合350mg/日、小児では5mg/kg体重/日とした。それ以外の通常の食品からの摂取の場合、耐容上限量は設定しない2
理由は、過剰摂取で最初に起きるのが下痢だからです。サプリメントや医薬品として一度に多く摂ると起きますが、食品として摂るぶんには、そこまで届く前に食べきれません。
「増やすと不利になる場合がある」という話の、分かりやすい例です。同じ栄養素でも、入ってくる形で上限が変わります。
足りているかは、血液で分からない
食事摂取基準の報告書は、はっきり書いています。「マグネシウムの不足や欠乏を招く摂取量を推定することは難しい」2。
必要量の算定も、血液検査からではなく出納試験(出入りを測る方法)から行われています2。研究の設備で行う方法です。
血液で線が引けるのは、ビタミンD・亜鉛・鉄・葉酸。カルシウムとマグネシウムは、引けない側です。
だから見るのは、食べた量のほうになります。
どの食品に、どれだけ入っているか
日本食品標準成分表(八訂)増補版の値です。可食部100gあたり3。
| 食品 | 100gあたり | 1回分のめやす |
|---|---|---|
| あおさ(素干し) | 3,200 | ひとつまみ2gで64mg |
| ほしひじき(乾) | 640 | 乾10gで64mg |
| カットわかめ(乾) | 460 | 乾2gで9mg |
| ごま(いり) | 360 | 大さじ1(9g)で32mg |
| アーモンド(乾) | 290 | 10粒15gで44mg |
| 大豆(国産、乾) | 200 | — |
| 糸引き納豆 | 100 | 1パック45gで45mg |
| 乾しいたけ(乾) | 100 | 2枚6gで6mg |
| 木綿豆腐 | 57 | 1/2丁150gで86mg |
| 玄米ごはん | 49 | 茶碗1杯150gで74mg |
| そば(ゆで) | 27 | 1食200gで54mg |
ここに出てくる食品を見て、気づくことがあります。海藻、種実、豆、玄米、そば。食物繊維の供給源と、ほとんど同じ顔ぶれです。
そして12の栄養素の供給源を並べたときに重なっていた「ナッツ・豆類・海藻」が、ここでも上位に来ます。1つの食品を足すと、複数の栄養素が同時に動きます。
玄米に替えると、どうなるか
分かりやすい例を1つ。
| マグネシウム | |
|---|---|
| 玄米ごはん(100gあたり49mg) | 74mg |
| 精白米ごはん(同7mg) | 11mg |
1食で63mgの差です。1日3食なら189mg。足りない分(男性で約119mg、女性で約56mg)を上回ります。
ただし玄米にはもう一方の話もあります。日本人のカドミウム摂取の7割以上が米・小麦・大豆から来ていて、精米すると外側の層は減ります。どちらを取るかは、この記事だけでは決められません。
検査結果の「不足」欄にマグネシウムが出たら
集団としては足りていません。特に20代女性は193mgで、推奨量280mgの69%です。
RESONA-LABの結果報告書は、マグネシウムの「解毒への関与」として「肝臓酵素の働きを助け、毒素排出を促す」、腸については「腸の蠕動を整え、便通を促進」と記しています4。
後者には、薬としての裏づけがあります。酸化マグネシウムは、便秘に対する薬として処方されています。ただしそれは医薬品としての用量の話で、食品から摂る量とは桁が違います。
前者(肝臓酵素)については、「マグネシウムを増やせば処理が速くなる」と人で確かめられた手順は見当たりません。足りない分を埋める理由は、そちらではなく、300以上の酵素反応に関わるという基本的な役割のほうにあります。
今日できること
ナッツ・豆・海藻・玄米のどれかを、1日1回入れる。
アーモンド10粒で44mg、納豆1パックで45mg、玄米ごはん1杯で74mg。1品で足りない分の半分から全部が埋まります。
そして出す側の順番で言えば、これは「上流の材料」にあたります。出口が動いているかを先に見る、という順番は変わりません。
今日決められるのは、食品から埋めるかサプリメントから埋めるかです。ここだけ、上限の扱いが違います。
食品由来のマグネシウムに耐容上限量は設定されていません。一方でサプリメントなど通常の食品以外からの摂取には、成人で350mg/日という上限が置かれています。ナッツ・海藻・豆類を1品足すのと、錠剤を足すのとでは、確かめるべきことが変わります。
参考文献・参考資料
- 厚生労働省「令和5年 国民健康・栄養調査結果の概要」表3・表4 栄養素等摂取量 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001338334.pdf
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 ミネラル(多量ミネラル)マグネシウムの食事摂取基準 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316468.pdf
- 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補版」本表 https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_00001.html 1回分のめやすは、成分表の値から計算したものです。
- RESONA-LAB 検査結果報告書(人用・試供品サンプル)の記載による https://resona-lab.com/humans
本記事は公的資料の整理であり、個別の診断・治療に代わるものではありません。特定の食品・製品・サプリメントの効果を示すものでも、摂取を勧めるものでもありません。腎臓の機能が低下している方では、マグネシウムが排泄されにくくなります。酸化マグネシウム製剤を含む薬を使用中の方、食事制限を受けている方は、個別の指示が優先されます。
SNSでフォロー
最新記事や、ここだけのコンテンツをお届けします。